ミャンマーのASGMコミュニティにおける健康影響評価

零細小規模金採掘(ASGM)は低所得者層の生計手段としてミャンマーでも行われています。また、ミャンマーのASGMでは、金を回収するために水銀が使用されていることが知られていますが、水銀は呼吸器系、神経系、免疫系の障害など、環境と人体の両方に有害な影響を及ぼします。SRIREPプロジェクトは、2020年2月にミャンマー天然資源環境保全省環境保全局(ECD)の協力を得て、ASGMコミュニティの健康状態、特に水銀中毒を評価するために、初の健康影響調査を実施しました。

調査地域はミャンマー・マンダレー地域のタベイキン チャウン・ジー村です。ここではASGMが個人やファミリービジネスで盛んに行われています。

ASGMの過程で放出される水銀蒸気を吸入することで水銀に曝されやすいのは呼吸器系であることから、携帯型スパイロメーターを用いてASGMコミュニティの呼吸機能を評価し、水銀中毒による神経症状も評価しました。さらに、従事者の毛髪に含まれる水銀およびその他の重金属の分析を行い、これらの知見とASGMコミュニティの健康状態との相関関係を調査しました。

その結果、一部のASGM鉱山労働者には慢性的な水銀中毒による神経学的な徴候や症状が見られ、ASGM鉱山労働者の呼吸器系の機能は採掘活動の期間が長くなるにつれて悪化することが分かりました。

この報告は、「Health Impact Assessment of Artisanal and Small-Scale Gold Mining Area in Myanmar, Mandalay Region: Preliminary Research “は、Environmental Research and Public Health, Multidisciplinary Digital Publishing Instituteに掲載されました。

本研究の詳細については、こちらから研究論文の全文と成果をご覧ください。